いってらっしゃい

小学生の時、書道の授業で好きな四文字熟語を書くというテーマの日があって、わたしは「無言実行」という言葉を選んだのだった。

●無言実行(むげんじっこう)
あれこれ説明することなく、自分が正しいと思うことを、直ちに実行すること。

「有言実行」ならまだしも、渋いなぁと我ながら思う。そんな小学生の時に掲げた言葉を、大人になったわたしは全く守れていない。何かと理由をつけてしまうし、誰かに理解して欲しくて、要らないことを言ってしまう。

先日、Saqooshaさんが東京へ居を移されるとのことで、teracoのみんなでお見送り会をした。最近はお会いする機会も少なかったけれど、あの大阪のエイドさんオフィスにもういないと思うと、やはり寂しい。

わたしが抱いているSaqooshaさんのイメージは、「無言実行の人」。いつもひょうひょうとしていて、とんでもなくすごいことをさらっとしでかす。でも、一緒にお仕事をしている人たちは、「誰よりも彼が一番頑張っている」と話す。前に「できないって言いたくない」と言っていたことが印象に残っていて、自分が「それは無理だなぁ」と思ってしまうとき、この言葉をたまに思い返す。

お見送り会のteracoは、馴染みのメンバー勢ぞろいだったり、久々にIdoさんが復帰したり、ちゃぶさんがteracoヒストリーを振り返ったりですごく楽しくて、でも寂しくて、なんだか特別な雰囲気だった。あの時間がすごく愛おしかった。

わたしはといえば祇園祭帰りに徹夜でこのコマ撮りアニメを作成。
(Saqooshaデフォルメは、ウチのデザイナーちゃんが描いてくれました。)
FLARToolKitの花火や虹、katamariさんのサイト、映し鏡、とSaqooshaさんの制作物ヒストリーです。
ご本人にも喜んで頂けて、よかったです。

というわけで、ちょっと遅くなりましたが、Saqoosha先生、いってらっしゃい。

雨を連れてくる人

この前の大転倒で頭にできたたんこぶや、週のはじめにシュレッダーで切った傷が、日ごとに回復していくことが嬉しい。年を重ねて自分の治癒力が衰えていくのも感じるけれど、痛みが治まっていたり傷が薄くなっていると、大げさかも知れないけれど、生きているんだなぁなんて思ったりする。

先週末、2才になったばかりの友人の子供に会い、その成長に驚かされる。いつの間にこんなに喋れるようになったのか。こっちがハラハラするようなことも平気でやってみせる。全身で物事を表現するその姿を見て、彼から出ている熱みたいなものに触れて、すごく元気をもらった。

レイ・ハラカミが亡くなった。脳出血による突然のことで、亡くなるおよそ1時間前にもツイートしてるところなんかを見ると、まだこの出来事がすごく「生」っぽくて胃のあたりがうずうずした。ラジオからこの曲が流れてきて、MCの女性がハラカミさんとの思い出を話していた。

ハラカミさんの音からは、雨のにおいがした。
雨降りの日になんとなく聴きたくなるような、そんな音だった。

会社からの帰り道は、雨のにおいがした。
そういえば今日はひどい夕立ちだったことに気づく。あの突然の雷も大雨も、彼が連れてきたんじゃないかと思った。

転んで、泣く。

110713

今朝、愛車3RENSHOに乗りながら仕事へ向かう途中、思いっきり転んだ。
あんなにも勢いよく転んだのは、大学3年の時に雪の中原チャリを走らせ、一号線の左カーブで大転倒をして以来じゃないかと思う。
段差も障害物もないし、なぜ転んだのかわからない。
ただiPodで山下達郎の「僕らの夏の夢」を聴きながら、彼特有の「ほヒ~♪」とか「なハ~♪」みたいな歌い方を脳内で真似しつつ、夏気分に浸っていたことは確かだ。

どんな風に転んだのかよく覚えていない。知らない女性が駆け寄ってきて、「あなた!! 頭大丈夫!?」と心配してくれた。
痛いとかケガしたかもとかそういうことよりも、虚を突かれたような感覚で、転んだということがとにかくショックだった。
よく意味がわからなくて、転んで1分以内にはまた自転車に乗って走りだしていたと思う。また山下達郎を聴きながら。

会社に着いて「転んだ~!」と騒いで、ちょっと落ち着いてみたら、頭が痛い。触ったら大きなたんこぶができていた。
先日、年上の女性から受けた「25才を越えたら、白い肌は戻ってこないわよ。全力で日焼け対策しなきゃダメ。」という言いつけの通り、夏でもレギンス、外に出る時はカーディガンを羽織って帽子をかぶり、極めつけに軍手という完全防備ファッションだったために、外傷はほぼ無い。ただ左半身がマヒしていて、少し気分が悪かった。

お弁当用に持ってきていた保冷材で頭を冷やしながら薬局へ行って、いつもレジ打ちをしてくれるおばちゃんに相談したら、すごく心配してくれて、すごく優しくて、帰り道にちょっと泣いた。

会社に戻ったらみんなが心配してくれて、病院に行こうということになり、午前診療に間に合う整形外科を探してくれた。
なんかよくわからないけどまた涙が出た。心配してくれてるのに、お金かかるから行きたくないとか言ってごめんなさい。照れ隠しです。

探してくれた病院へ向かい、診療を受けた。先生はニコニコしながらわたしをなだめ、ときにつまらない親父ギャグを飛ばした。
そんな気遣いがうれしくてまた泣いた。すると午前診療最後の患者だったためか、手が空いていた看護婦さんが大人数でやってきて、わたしに話しかけてくれた。そんな優しくされたらわたしまた泣いちゃいますって。

小学生くらいの頃って「泣く」という行為が最後の関門だったように思う。
誰かが泣いたらその場はもうその子のモノ。いじわるをしても、泣いたら終わり。ケンカをしても、泣いたら終わり。
その子をなぐさめるという行為にその場の全員が全力を注ぐ。

でも、誰もが経験あると思うのだけれど、なぐさめられたらもっと涙が出る。優しくされたらもっともっと涙が出る。
昔はそれが何故なのかわからなかった。

ただ単に、自転車で転んだだけ。痛いけど泣くような痛みじゃない。
じゃあ何でこんなに泣いてるんだろうとふっと我に返り、まわりの人の優しさがうれしくて泣くんだなぁと思った。

会社に戻って酔っ払いが頭にネクタイを巻くような感じで、左斜めの角度で頭にアイスノンを巻く滑稽な姿を笑われる。
あの子にメールをしたら「キミは強い子だから大丈夫」と言われる。

転んで、泣く。そんなことがちょっと愛しく感じてしまった日でした。

LeakYourMusic

LeakYourMusic

友人らと新しいプロジェクトを立ち上げました。
LeakYourMusicは、誰でも簡単にお気に入りの音楽をシェアできる“音楽ブックマーク&シェアサイト”。
国内外のコントリビューターによるオススメの音楽が日々アップデートされていきます。

LeakYourMusic

>>Credit
Designer / Planner : Subaru Matsukura
Developer : Hiroko Nakano
ゲストコメンテーターに金閣寺武士さんこと、chucky!!

いつから企画しはじめたのだか、わーーーーっていう勢いで完成まで向かっていった気がします。
おもしろ!こうしよ、ああしよ!というノリでワイワイ言いながら。

現在はまだβバージョンで、限られたコントリビュータしかポストできませんが、
いずれは音楽ブックマークサイトとしてオープン化予定。
とても流れが早くて、追いつけないくらいです。

たぶん、つくったわたしが一番楽しんでる。ああおもしろい。

The Long Goodbye

実家の犬が死んだ。

私がまだ小学生のときに家にやってきた、メスのシーズー犬。
犬が飼いたくて仕方がなかったわたしは、犬のぬいぐるみを本物に見たてて気持ち悪いくらいにかわいがったり、
図書館で犬の飼い方の本を借りてきたり、近所のペットショップに出かけたりして、
いかに自分が本気かということを両親にアピールしていた。

そんなわたしの熱意に押され、ついに犬を飼うことになった。
バレエのレッスンの帰りに、たまたま寄ったちょっと遠いペットショップでのこと。白と茶色毛の鼻のつぶれたシーズー犬がいた。

わたしがガラス越しのゲージの前に立つと、手招きをするような仕草でガラスを叩き、くーんくーんと鳴いた。
「わたしをここから出して」という声が、今にも聴こえてきそうだった。
その日、今まで貯めたお年玉をはたいて、犬を買った。

4月の下旬に、調子が悪くなったと連絡を受けた。ちょうどゴールデンウィークでわたしが実家に帰る前のことだった。

仕事を終え夜行バスに飛び乗り家に帰ると、彼女はガラスで覆われた酸素吸入器の中にいた。
その中にいないと、もううまく息をすることもできなかった。

何も食べないけれど、もしかしたらあれなら食べるんじゃないか、と
昔好んで食べていたケンタッキーのチキンや、
ムーンライトというクッキーを買って来たりもしたけれど、見向きもしなかった。

このゴールデンウィーク中は、あまり外にも出歩かず、ずっと彼女の傍にいた。
コトコトと音を立てる酸素吸入器の隣で、本を読んだり、映画を観たりした。

京都に帰る日、家を出なければいけない時間ギリギリまで、頭をなでていた。

薄々気付いていた。
もうわたしの人生において、二度と彼女に触れられることはないだろう、と。彼女に会えることはないだろう、と。
こんなにも可愛くて大切で大好きなのに。
もっともっと一緒にいたいのに。

出会ったときは両手に乗るくらい小さくて、どこでも元気に走り回っていたのに、
いつの間にかおばあちゃんになってしまっていたんだよね。
ずっと一緒にいたから気付かなかったよ。

それから数日後、眠るように息を引き取ったと母親から連絡があった。
享年14歳。15歳まであと21日だった。
亡くなる1時間くらい前に、突然大きな声で「ワンワンワーン」と吠えたらしい。
きっとそれはお別れの挨拶だったのだと思う。

lomo

いつかまた会ったら、一緒に枕を分け合ってお昼寝をしよう。それまでにいびきをかく癖は直しておいてね。
今まで本当にありがとう。

長いお別れを。

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