新海誠監督 最新作「言の葉の庭」の舞台挨拶に行ってきたので、忘れないうちに記しておきます。監督のトークの他に質問コーナーもあったので、そこはQ&Aで表記しています。話の内容は順不同、しっかりメモしていたわけではないので、私的解釈になってしまっている部分もあるかも知れないです。完全ネタバレです。

・タカオ役に入野自由くんを起用したのは、前作「星を追う子ども」での演技を見て、すごく好きになったから。彼は素晴らしい役者。

・舞台に新宿御苑を選んだ理由は、自分の家から近くて、好きな場所だから。年間パスも持ってる。

・ラストに出てくる、タカオがユキノのためにつくった靴は実際にもつくった。かなり小さいサイズなのだが、ユキノ役の花澤香菜さんにピッタリだった。「やはりあなたがシンデレラ」だったんですね、と言いたくなったがやめておいた。

・「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから」というセリフはお気に入り。それに続く「そっか」「そうよ」というセリフまわしは 「秒速5センチメートル」でタカキとアカリの会話にも出てくるが、特に意識はしていなかったとのこと(「意識していたのですか?」との問いに)。

・ユキノにとってタカオと過ごした数ヶ月間は人生にとっての雨やどりの期間だった。
Q. 監督にとっても雨宿りの期間というのはあったか?
A. あった。自主アニメーションをはじめた27歳のときで、それがユキノを27歳と設定した理由。

・雨の降り方は2人の距離を表している。2人を隔てる雨だったり、寄り添う雨だったり。2回目を観るときは、その日ごとの雨の降り方(強さなど)に注目して欲しい。

・Q. 作品をつくる上で大変なことは?
A. 全体の設計図をつくることが大変。今回、はじめに大まかなストーリーをつくって女性スタッフに見せたところ、「ユキノがすごく嫌な女に見える」という意見が多かった。それを受けて学校のシーンを厚くしたり、ファンデーションを落とした瞬間に泣くシーンや、ユキノのマンションでの日常シーンを追加していった。

・主題歌に大江千里の「Rain」を使用した(本映画での歌唱は秦基博)のは、単純に大江千里のファンだから。大学時代から好きで、とても影響を受けている。
「秒速5センチメートル」でのアカリからの手紙の一遍は、大江千里の「返信」の歌詞から引用した。

「秒速5センチメートル」アカリの手紙
「最近は部活で朝が早いので 今 この手紙は電車で書いています
この前 髪を切りました
耳が出るくらい短くしちゃったから
もし会っても 私って分からないかもしれませんね 」

大江千里「返信」の歌詞
「髪を耳まで出してみました 朝が早いので電車で書いてます」

・Q. タカオとユキノはこれからどうなるのか?
A. 映画で語られたこと以外は、観た人の心の中にあるものが正解だと思っている。これからダ・ヴィンチで言の葉の庭の小説連載をはじめるので、2人のもう少し先を書く予定はある。
あくまで自分の意見だが、タカオからユキノへの気持ちは「愛」であり、ユキノからタカオへの気持ちは「恋」だったのではないかと思っている。

・(「金麦を飲んだり、オムライスを食べたりしたくなった」との観客の言葉に)
誰かの心や身体に直接何かを刻めるような作品をつくりたいので、そのような感想はすごくうれしい。

わたしは特に思い残すところもなく、観終わった後もえらく爽やかな気持ちだったのだけれど、まわりの感想を聞いていると「もやもや」の人が多かったみたい。すっきりできたのは、監督のトークを聞けたというのが大きいのかな。
タカオとユキノのお互いへの気持ちの話を聞いた時に、ひろし(クレしん)が「恋は相手の長所を見つけること 愛は相手の短所を認めること」と言っていたことを思い出した。

年齢や立場や価値観も違う、いろんな縛りがある2人。それが雨の日の午前中、あの場所でだけ解かれて対等な2人になる、というのがとにかく良いなあと思った。

新海誠監督の舞台挨拶は2回目。以前、「雲の向こう、約束の場所」公開時に美術監督の丹治匠さんと京都に来てくださった。それはなんとクリスマスで、わたしはその日はじめて新海作品を観て、あの作品全体に息づく「切実さ」に深い感動を覚えた。今でも一番好きだ。

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