ぬるい気温の中、自転車を漕ぐ帰り道。気づいたら無意識に歌を口ずさんでいて、コレなんだっけな…と思ったら讃美歌だった。私が一番好きだった24番。礼拝の時間にこの曲が選ばれると、なんとなく嬉しかった。

わたしが通っていたのは中高一貫のプロテスタント系の学校で、毎朝必ず礼拝が行われていた。クラス内で行われるクラス礼拝、校内放送を通して行われる放送礼拝、礼拝堂にて合同で行われる中学/高校礼拝という3種類があって、曜日ごとに「今日は○○礼拝」と決まっていた。パイプオルガンの音を聴きながら手を組んでお祈りをし、讃美歌を歌って、聖書の一節を読み、先生(牧師)の説教を聞き、最後にもう一度お祈りをして、アーメンと唱える。これを毎朝6年間繰り返してきた。

式典では君が代を歌わないし、「道徳」の代わりに週に一度「宗教」という授業があった。新旧聖書内の物語や教え、学園を創った先人について学ぶ時間なのだけれど、わたしはこの授業がすごく好きだった。ムダに成績も良かった。特に旧約聖書が好きで、古代の人々の営みや歴史を学ぶことはとても面白かった。

とはいえわたしはクリスチャンでは無いし、かなり第三者的な目線からこれらのことを見ていた。興味の対象ではあったけど、信仰の対象ではなかった。

わたしが通っていた6年間、主に説教をしてくれたT先生という方がいた。他の先生が聖書の内容に基いて話すのに対して、絵本の世界のような空想や自分の息子の話など、興味を引きやすい話が多かった。今から考えれば、聖書に興味の無い生徒たちが飽きないように趣向を凝らしてくれていたような気もする。しかしこれが本当に面白くて、T先生が担当する日の礼拝はいつも内心わくわくしていた。

たまに友人たちとの昔話で話題に出てきたりして、「大人になった今だからこそ、もう一度先生のお話が聞きたいな」と何度も思ったことがある。
もう学校を去ったことは知っていたけれど、結局卒業して以来、どうしているかは何も知らない。きっとどこかで牧師をされているんだろうなー、となんとなく名前を調べてみたら、今は茨城の方で保育園の園長先生兼牧師をされているそうで、お姿も拝見でき「わー、お元気そうで良かった」なんて思っていたら、なんとその教会が礼拝をpodcastで配信していて、こうして京都で暮らしているわたしでも、毎週先生の説教を聴けることを知った。

こんなにもインターネットが素晴らしいと思ったのは久しぶりだ。
先生、白髪増えたね。でも、素敵な声は昔と変わらないね。