あまりの慌ただしさに11月くらいからどんな生活をしていたのかほとんど記憶にない。家に全然居なくて先月の電気代が600円だったし、何かを食べに出るのも何を食べたいのか考えるのも煩わしくてカップラーメンで満たした体は、萎萎してそのうち干からびそうだ。

家に帰れば泥のように眠る。寝付きの悪さに悩んでいたことが嘘のように、迷うこと無く夢路をたどる。
そして昔読んだオーケンの本に書いてあった言葉を思い出す。

悩んでる暇があったら寝てしまうことだ。
眠りは死のシミュレーションである。人は毎夜毎夜数時間の死を仮体験し、何度でも、何回でもその死から生まれ変わる能力を天からかどこからか与えられている。一日一日が目覚めであり、人はそこから何度でもやり直すことができるのだ。

この一節を読みたくて家から持ってきた本を開いたら、自分が写っている写真が挟まっていて心臓が止まるかと思った。返してもらってから一度も開いてなかったんだ。

あの寒すぎた日だ。ちょっと遠出した日だ。全然来ないバスを待ちながら夕日を見た日だ。覚えてるよ。
話すことはもうきっとないけど、いつか君がこれを読むことがあるかも知れないから、ものすごいボディーブロー喰らったってことは記しておくよばかやろう。そしてわたしからのカウンターパンチをどうぞ。

さぁ、寝て起きたらまた新しい自分だ。